腸内ガスが症状を起こす
1998年のジョン・ハンターの研究でIBSの人の腸内には細菌が増えすぎていて、腸内のガスが多くなっていることを発見した。マークディメンタルらがIBS患者の70%がSIBOであると発表した。そしてNorm Robillard博士は腸内ガスを発生させるものを調べた。
腸内ガスを出す成分
- 乳糖
- 果糖
- 難消化性でんぷん
- 食物繊維
- 人工甘味料
これらの5つは小腸で消化されない成分である。小腸で消化されないものは、腸内細菌が分解する。そうすると発酵してガスが発生する。
博士が行った実験ではわずか30gの糖質が発酵すると10Lもの水素ガスが発生することがわかった。
FODMAPも基本的な原理は同じだが博士が特徴的なのは難消化性でんぷんと食物繊維を指摘していることである。
腸内でガスが発生することで、腹痛やお腹が張る、便秘、下痢と言った症状が起こる。
ガスを発生させる成分 乳糖
牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品に含まれる成分。
ガスを発生させる成分 果糖
果物・果汁、砂糖、ジュースなどに含まれる果糖ぶどう糖液糖に含まれる成分。
果糖はブドウ糖の10倍も多くの老化物質(AGEs)を作る。
AGEsとは
終末糖化産物と呼ばれ、高血糖になることでたんぱく質と糖がメイラード反応を起こしてできる老化を促す物質のこと。メイラード反応はパンケーキを焼いたときにできる焦げ茶色の焦げをイメージしてもらうとわかりやすいです。身体の焦げなどと言われます。
果糖はブドウ糖と異なり肝臓で中性脂肪に変わり高脂血症や肥満の原因となる。
ガスを発生させる成分 難消化性でんぷん
消化されないでんぷんのこと。タイ米のような熱帯産のお米に多く含まれているアミロースが代表的。タピオカを始めとする生のでんぷん(芋の粉)。
難消化性でんぷんの代表はアミロース。代表的なでんぷんにはアミロペクチンがあるがこちらは消化されやすい。アミロースとアミロペクチンはどちらもブドウ糖が結合してできているものだが、ブドウ糖の繋がり方が異なり消化のしやすさが違ってくる。アミロペクチンは消化されやすく、アミロースは消化されにくい。例えばコシヒカリはアミロペクチンが8、アミロースが2で理想的なバランスであるのに対し、タイ米やインド米などの熱帯産の長いお米はアミロースが多く、ガスを発生させやすい。パン、パスタなどの小麦製品、とうもろこし、オーツ麦、イモ類、バナナなどもアミロースが多い食品である。
ガスを発生させる成分 食物繊維
私をはじめ多くの人が健康によいだろうと思って摂っているのが食物繊維。これがガスのもとになる。腸活のために摂っている人も少なくないと思うが、逆効果になっている人も多いのではないだろうか。
食物繊維もガスを発生させる。代表的なのはさつまいもをはじめとするイモ類。里芋、山芋、ごぼう、れんこんなどの根菜類、大豆小豆などの豆類、きのこなどは食物繊維が多い。玄米・雑穀・小麦、果物、ナッツ。難消化性デキストリン(オリゴ糖)。たくさん食べると大量のガスを発生させる。食物繊維の中でも特にガスを発生させるものがフラクタンという食物繊維。特にフラクタンという食物繊維は注意。フラクタンは果糖がたくさんつながった甘み成分で全く消化されない。すべて発酵してガスが発生する。フラクタンが非常に多く含まれている食品が小麦と玉ねぎ、果物、もも、柿、バナナなど。
ガスを発生させる成分 人工甘味料
アセスルファムカリウム、アスパルテーム、マルチトール、ソルビトール、ポリデキストロール、イソマルトオリゴ糖
これらは消化されないので血糖値は上がらないが、腸内細菌による分解が起こる。故にガスが発生する。
まとめ
小腸で消化されないものは、乳糖、果糖、難消化性でんぷん、食物繊維、人工甘味料の5つである。
特にアミロースとフラクタンに注意
お腹のガスに悩んでいる人は、これらの食品を控えて腸内細菌によるガスの発生を抑えることを試してみるとよい。言い換えれば腸内細菌は減らしたほうがいいので、乳酸菌のサプリや腸内細菌のエサとなる酵母を摂っている方は一旦やめてみるのが良いのかもしれない。